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児島尚子
解剖の結果、変死体は歯形とDNAから、あの邸宅の持ち主である金浦亮平(54歳)、自称実業家と断定された。
死因は絞首による窒息死だった。
首筋のロープの跡からは、ロープの繊維の一部が採取された。
クライミングにも使用できる、細いながらも強靭な紐であることがわかった、
また、金浦亮平の左こめかみにあった出血斑は、エアーソフトガンより射出されたプラスチックの玉が3発当たったことによるものとわかった。
鑑識によると、BB弾が絨毯と絨毯の間に挟まるように、離れた場所に床に2発落ちていたそうだ。
矢内先輩が、スクリーンに写し出された物的証拠と共に、これらの要件を本部で報告した後で、
「状況証拠から見えてきたものは、犯人は至近距離でエアーソフトガンで狙撃し、その痛みで踞った所に、後ろから二重にした緑と黄色の柄のロープを被害者の首にかけ、ソファの背もたれに足をかけて体重を乗せて絞首した。
被害者の金浦亮平は、苦しみ悶えながらも、なす術なく窒息死したようです。」
ひと息入れて深く息を吸い込み、さらに続けた。
「それから、今から流す映像は、麻薬捜査班による、金浦亮平の内縁関係にありました、児島尚子(34歳)の事情聴取の様子です。」
スタイルもよく、整った顔つきで美人なのは見た目で判断できるが、映像に写し出されている児島尚子は、それを覆い隠すほどに疲れはてた様子だった。
張り付けたような、表情には、強い疲弊感が見てとれた。
「・・・・私が殺してやりたかった・・
もう・・全部話します。」
映像の開口一番にそう言った彼女は、堰を切ったように泣き出した。
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