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私は叫んだ。
「セイヤ!!
私を一人にするの?」
「私を置いてかないで!!」
「私もあなたと同じように苦しんでいた。
だから、私と一緒にいて!!」
「セイヤ!!」
「お願い!!
セイヤ!!」
嗚咽まじりの私の叫びは、山間部でいくつもの木霊となったが、セイヤには届かなかったようだった。
さほど遠くない場所で、車が走り去る音がする。
絡まった足のロープを取り去り、「黒田!!追いかけるぞ!!」とそう言った矢内先輩とパトカーに乗り込み、サイレンを鳴らしながら周囲をくまなく探索した。
道は細い山道ばかりで、逃げ切れるわけがない。
矢内先輩が連絡し、その要請を受けた数台のパトカーと捜査員、そしてヘリコプターまで動員して捜索したが、セイヤは見つからなかった。
セイヤが乗り込んだと思われる車の痕跡も皆無であった。
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