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 ボクの存在は誰にも気づいてもらえていないようで、唯一の視線の彼女はゆっくりと顔を振った。 「じゃあ……気が向いたら遊ぶから、もう解放してあげて。人間の興味なんてまたすぐなくなるから」 「やだよ、もっともっと見て欲しい」 「……私はちゃんと見えてるから」  ボクは物心ついた時からこの世に存在していない。  記憶にあるのは暗い部屋と沢山のもの。  いろんな匂いのする中で、時折食べ物があって痛いことばっかりだった。  終いには動けなくなって、話せなくなって、ご飯も居場所もなくなって、気が付くとこの公園の草に囲まれていた。  虫だけがボクの存在を認めてくれることが嬉しくて、このまま暖かいここで過ごせたら……なんて思っていたのに。 『見てみて! ガイコツのオモチャ!』  そうして始めて太陽を見た。
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