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 つい先月越してきたばかりのボクにはよくわからない。  横顔だけでもかなり可愛いと思えてしまうほど、肌の白い小さな女の子。ボクより年下かもしれない。 「ちゃんと遊んでみればわかるんじゃない?」 「うわっ! こっち見た!」  ただこちらへ振り向いただけなのに、友人たちは一目散に逃げて行ってしまった。 「何を作っているの?」  思い切って声をかけてみたけれど、彼女はちらりとこちらへ視線を向けただけで返事もしてくれない。 「何を作っているの?」 「……あのおじいさん、喉にお菓子詰まらせちゃう」  白い手から伸びる細い指が、昼間から盛り上がっている老人会だろう歳のいった大人たちを指さしている。 「どういうこと?」  何を言っているのかさっぱりのボクは、もう一度同じことを話す彼女へ首を傾げて見せると、賑やかだったそこから大きな悲鳴が聞こえて来た。
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