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大きなカメラを肩に乗せた大柄な男と、マイクを口元にあて、真剣な眼差しでカメラを見つめる細い大人が公園の中へ入ってくる。
「一ヶ月で二十人もの死傷者が出るという、近隣では呪いの公園とーーーー」
「失礼しちゃうなぁ、ここは楽しい公園だよね」
ありもしない祟りだの呪いだのとカメラへ向かって力説する男性は、ボクたちを見つけると足早に寄ってきて、優しい笑顔を向けてきた。
「ねぇお嬢さん、ここの不思議な話とか怖い話とか、聞いたことあるかい?」
「…………」
けれど相変わらずの彼女は何も話そうとはせず、やはりチラリと顔を見ただけで箱を作る手を止めない。
「何でもいいんだ、なにか七不思議的な話でも構わないし」
けれど食いさがる様子を見せない男は、ボクのことは視界に入っていないのか、答えを聞くまで粘るとでも言いたげに何度も質問を繰り返す。
「本当に小さなことでも」
「やめてあげなよ! 彼女は嫌かも」
「……あっち」
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