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得体の知れないものをまた見つけたと言わんばかりの、大人たちの態度と視線。
慌てて戻ってくるカメラを持つ男は、ボクへレンズを向ける。
「撮るな」
「今喋ったよな!?」
「いじわるするなら出ていけ」
「は?」
「みんなみんな、ボクと遊んでくれないなら出ていけ!」
ドンという衝撃音がして、砂場の砂が空高く舞い上がる。
「うわぁぁぁっ!」
そこにいた大人二人も砂と共に高く高く空へ舞い上げられるように飛び上がる。
「……大人をアテにしちゃダメだよ」
冷静な声がして、声の主へ視線を向けると、ボクへ笑顔を向けてくれた彼女が板に乗ったお墓のようなものを、藤棚の向こう側、草むらの近くに丁寧に置いて手を合わせてくれている。
「私も本当は遊んであげたいけれど、ダメなんだって。次へ進めなくなるって」
「……ひとりぼっちは嫌だもん」
「ここだともっと一人ぼっちだよ?」
「誰か助けてくれぇえ!」
頭上では大人たちが情けない叫び声を上げ、聞きつけた別の人たちが青ざめた表情で集まってくる。
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