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プロローグ
透き通るような蒼。空いっぱいに広がる色に目を向ける。朝の空気は昼間より肌に刺すようで、少し寒い。国営ということもあってか、自警団の寮は広い。いつもは起こされるまで起きないが、今日は何故だか起きてしまい、かと言って二度寝するのもなんだと思い、中庭まで散歩に来た。
隊服は暖かいが、マフラーが欲しいなあと思いつつ、ベンチに座る。
うとうとしていると、誰かの足音に気づいた。
「おい、シキ。」
「なんだ。セイか。」
足音の正体は、同僚でもあり、第七師団三番隊副隊長セイウンだった。ベンチから見上げるとなんとデカイこと。おかげで首が痛い。
「珍しいな、お前が朝早くこんなとこにいるなんて。」
「ああ、なんか起きちゃってさ。」
「いっつも俺が起こしてやってんのになあ。これが毎日続けばいいのに。」
「うっせ。なに?なんか用でもあったんじゃねえの。」
「あ、うん。そうそう。……団長殿がお呼びです。シキ隊長。」
わざとらしく「シキ隊長」なんて呼びやがって。
ニヤリと笑うセイに俺は思いっきり嫌な顔を向けた。
………あの俺様団長に呼び出されるなんて今日は厄日かもしれない。
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