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皆さんはご存じだろうか?
長く水面のように輝く金髪に、スタイル抜群な柳腰で男性陣の心を射ぬく。<Black eater>のヴィーナスと言っても過言ではないベル=ムーアのことを__。
此処は、スタジオから出た舞台裏の通路。
ツカツカと音を鳴らして彼女が向かった先は、監督<鷹望>が寛ぐ休憩室である。
そこには、茶色い鷹のような着ぐるみを着てスタンバっていた<鷹望えもん>と黄色いドラゴンのような着ぐるみを着てお邪魔している<ユウミ>が仲良く茶をすすっていた。
「鷹望えもーん♪ 空斗がキュンするような衣装出して~」
突然部屋を訪れたと思ったら、鷹望えもんに抱きついて甘えるベル。
すると困った顔をしながらも、もそもそと二次元ポシェットを漁り。行儀よく正座をして待っていたベルに、悪怯れる様子もなく「o((≡゚♀゚≡))/色んな意味でおかしな衣装〜」と手渡したのは、チョコレート・スイーツで出来た不思議な衣装だった。
「さっすが鷹望えもん!」
嬉しそうに衣装を受け取ったベル。
確かに何でも残さず食べてしまう空斗にとって、食べ物で出来た衣装は魅力的に見えるかもしれない。
けど、その様子を冷静に茶をすすっていたユウミが口を挟む。
「それ、喰われたらハレンチぽいね」
その瞬間、突っ込みにしては豪快な鷲掴みにあったユウミは、そのまま壁の一部となった。
「最っ低~!」
しかし、鷹望えもんがユウミをフォローするようにベルに言う。
「ある意味着てくれたらみんな興奮しますけど」
すると拳を固く握りしめたベルは、容赦なく鷹望えもんをたんこぶ付きで床に沈めた。
「ちょっとは真面目に考えてくれてもいいでしょ? 監督は私の気持ち知ってる癖に~」
「それなら道具に頼らず、空斗と仲がいい雄さんに協力を煽ってみたらどう?」
「あの壁に埋もれた憂の方じゃなくて?」
「そう」
ベルが指差した方を見ると、着ぐるみの頭が壁の穴から抜けなくてジタバタしている監督/静繧。助けてあげたいが、まずはお怒りのベルをし静めなければと監督/鷹望が話を進める。
「まぁ物は試しと言うか、雄さんの中身は女のk…といけない。そろそろ雑談劇場に行かなくちゃ。気持ちを伝えるバレンタインに、道具は不要だと思うよ」
でも監督/鷹望が進めた雄の性別は男。
以前某合作で顔を合わせた事があるものの、主役を勤める空斗と比べたら親交がなく。お互い知り合いレベルの関係。
おまけに先程破廉恥な発言をした監督/静繧が率いる<鳳龍伝説>の主人公なのだ。
あんな無害そうな顔をして、実は__!?
何てことも考えられるだろう。
しかし、ベルの周りは恋敵だらけ……。
三日三晩悩みに悩んだ末、意を決して雄の楽屋へと足を運ぶのであった。
【つづく】
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