秋風に吹かれて

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「……うん、早く一緒に暮らしたい」 幸せな感情が押し寄せてきて、思わず涙ぐむ。 「彩矢ちゃん、信じていいんだね? 本当に、今度こそ本当に結婚できるんだね?」 まだ半信半疑なのか、用心深く念を押すように聞いた。 「……うん、雪花のことも可愛がってくれるでしょう?」 「当たり前だろ。本当に悠李と雪花ちゃんと四人で暮らせるんだね? 一緒になれるんだね」 ひどく感激したように、私の手を両手で握りしめた。 「これからは子供たちにも会ってね。遼くんならすぐに懐いてくれるはずよ。悠李とは元々仲がいいし、なにも心配いらないわね」 「年内にでも結婚できるかな? 彩矢ちゃんはどうしたいんだい?」 「まだ離婚して間もないから、派手なことはしたくないけど、私も一度でいいからウエディングドレスが着てみたいな」 「そうだね。そうしよう。どこか南の島にでも行って、挙式しよう」 そう言ってきつく抱きしめた。 「嬉しい。……私、とっても幸せ」 「彩矢ちゃん……」 胸に顔をうずめて涙ぐむと、顎を持ちあげられて激しくキスされた。 私たち、やっと夫婦になれるのね。 優しい遼くんとこれからは、ずっと一緒にいられるのね。
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