秋風に吹かれて

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目鼻立ちのはっきりとした金髪の息子は、俺とは似ても似つかない顔に見えるが、成長すればそれなりに似ているところも出てくるだろうか。 こうして実際に血の繋がった息子が生まれてみると、やはりなんとも言えない喜びが込み上げて来る。 この赤ん坊の父親になってやりたいと、素直にそう思える。 だけど、まだ眠ってばかりいるこの息子より、やはり雪花のほうが可愛い。 血のつながりのない悠李でも、三年も共に暮らしていれば、それなりの愛着も湧いて手放したくないのだった。 なによりも今頃になってから、佐野に全部持っていかれるというのが癪だった。 悠李はまだ四歳でいながら、中々見どころのある奴だ。 いい学校に入れてやれば、悠李も雪花も将来確実に優秀な人間に成長するだろう。 なんの夢も持たない彩矢と佐野なんかに任せていたら、惨めな一生を終えることになりかねない。 俺に受け入れられようと、いつもすがるような目で見つめる悠李がたまらなく鬱陶しかったが、今となればそれも懐かしい。
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