秋風に吹かれて

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弁護士に会うのはなんとなく気が重く、先延ばしをしていた。 不貞を働いていたわけじゃないけれど、弁護士にさえ、信じてもらえる自信がなくて…… だけど、いつまでもグズグズしているわけにもいかず無料相談してくれると言うので、仕事帰り法律事務所へ寄ってみた。 弁護士の見解では、すでに親権は私にあり、離婚も成立している今、よほどの理由がない限り、潤一に親権が渡るはずはないとのこと。 たとえ、私が不貞を働いていたとしても、子供の環境を重要視する家庭裁判所は、アメリカに住む潤一に親権を渡すなどあり得ないと言われた。 住み慣れた日本で、今までどおり母親の元で暮らす方が、子供の成長には適切である。 そう考えるのが普通であると。 ましてや私には、サポートしてくれる祖父母がいて、看護師という安定した仕事にもついているのだ。 裁判に負けるなど、ありえないとのこと。
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