春の嵐

68/77

225人が本棚に入れています
本棚に追加
/486ページ
「パパは仕事で家になんていないの。帰りだって毎日遅いし、一緒に暮らしていたんだから悠李にもわかるでしょ。パパは遊んでいる暇なんてないのよ」 「遊んでくれなくていい。悠李パパがお仕事から帰ってくるの待ってる」 「ハハハハッ、悠李、おまえは可愛い奴だな。そこまで言われたら無理をしてでも早く帰りたくなるな。俺がいない昼間は美穂が居るから、いつ来てもいいんだぞ」 なんの遠慮も躊躇いもない潤一に苛立つ。 「やめてください!! あなたは自分のことしか考えてないんだわ。子供の幸せを少しは考えてよ! ふたつの家を行ったり来たりしていたら、子供たちはずっと引きずって悲しい思いをするのよ!」 「自分のことしか考えてないのはおまえじゃないのか? 悠李の気持ちが少しもわかってない」 痛いところを突かれて、顔が引きつった。
/486ページ

最初のコメントを投稿しよう!

225人が本棚に入れています
本棚に追加