春の嵐

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母に保育園のお迎えをお願いして、二月に借りた賃貸マンションに、週二、三度行くようにしている。 私たちはすでに公認の仲だけれど、まだ泊まったりはしていない。 本当は入籍もしてしまいたかった。 だけど、悠李のことを考えると苗字を変えてしまうのはまだ早い気がした。 仕事帰りに二人でスーパーに寄り、すぐに作れそうな食材を買った。 二人っきりというのも新婚のような楽しさはあるけれど、やはり早く子供たちと一緒にここで暮らせるようになりたい。 今日のメニューは石焼ビビンバ。 石焼といっても、お店のように石の丼を用意するわけではない。フライパンで焦げ目をつけたものを普通のドンプリに盛り付けるだけ。 味をつけた肉を焼き、レトルトのナムルにご飯とコチュジャンを混ぜ、丼に盛りつけてからポーチドエッグをのせる。 これは遼くんが教えてくれたメニュー。 卵を崩して熱々のビビンバに混ぜ込みながら食べた。 「美味しい! 簡単でいいね、これ」 「コチュジャンを少なめにすれば子供たちも食べられるかもな」 「そうね、美味しくて簡単だから、実家でも作ってみるわ」
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