秋風に吹かれて

9/84
前へ
/486ページ
次へ
「おなか空いてるだろう? たいしたものはないけど、なにか食べたほうがいいよ」 冷凍庫を開けて、遼くんがガサゴソなにかを探していた。 やっぱり優しいな、遼くんは。 早く一緒に暮らしたい。 「ほら、彩矢ちゃんの好きな蟹クリームのパスタがあったよ」 冷凍庫からパスタを取り出して振り向いた。 「ありがとう。じゃあ、やっぱりそれ食べるわ。自分でやるから」 冷凍パスタを受け取り、お皿に盛り付け、レンジに入れた。 「そ、それで、、弁護士さんからはなんて?」 洗面所で手を洗っていた私に、恐る恐る訊ねる。 「……わたしのほうが負けるって」 「マジで?……そ、そんな、、」
/486ページ

最初のコメントを投稿しよう!

232人が本棚に入れています
本棚に追加