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「……ほんと懐かしいな」
「俺らも歳取るわけだよなぁ」
「オヤジくさいこと言うなよ」
そんな回顧する日と変わらず楽しく過ごした。変わったのは手元に酒があるということだけだなと思う。楽しいことも悲しいことも酒を飲んでしまえば、という方法が身についてしまったこのは喜ばしくない成長ではある。
あっという間に夕日が落ちて真っ暗になった。人が閑散としてる砂浜で、花火買って来たよ! とコンビニ袋をぶら下げた同級生が満面の笑みで砂浜にドサドサとまく。そこには中学生の頃高価で買えなかった打ち上げ花火も混じっていた。
「おい、おすなって!」
「ビビんなって! はやく火ぃつけろ!」
導火線に火をつけると、急いで打ち上げ花火から離れる。砂浜に足を取られつつも、早く打ち上がってしまうのではないかと余計に走る。
導火線が筒にジ……と姿をひそめると、少しの沈黙の後赤い火花がシャアと音を立てて吹き出す。パチパチと小さな花火が更に華やかさを増している。真っ暗な闇を、赤いオレンジ色の光がみんなを照らした。
「きれー!」
「夏って感じね」
その火から、他の手持ち花火へと火を移し個々で楽しみ始める。
暗い砂浜でポツポツと光る手持ち花火を遠目に、熱くなった体を冷やそうと波打ち際まで来た。あの日と同じだな、とやんわりと昼話したことを思い出しながらも手持ち花火の光を遠目で見ながら、タバコを出す。中々つかないライターにイライラしながらも、やっとの事で火をつける。スゥと肺いっぱいに吸うと寛太くんタバコ吸うんだね、と後ろから声が聞こえる。
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