可愛いシモベ

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西高入学式。 校舎に一歩足を踏み入れると、零ちゃんが超有名人だっていうことを思い知った。 零ちゃんの周りにはたくさんの人だかりが。 「ふみ、何してる。行くぞ」 わたしは一番後ろに下がって零ちゃんの後をついていく。 「なあ、あの娘、可愛いくないか♪髪がふわふわってしてて肌が白くて目がパッチリしてて。どこの中学から来たのかな?」 「新城だってよ。一条先輩と同じ」 「へえ、おまえ詳しいな。あの娘のこと知ってるのか?」 「なんだよ、知らねえのか?あの娘に口だしても手を出しても一条先輩が黙ってねえんだって話」 よくわからない声が聞こえたけど低くなってやがて聞こえなくなった。 「何してる、ふみ」 怖い零ちゃんの声。 わたしがグズだから周りの視線に気づいて立ち止まると、零ちゃんが男子たちを睨んだ。 一瞬、空気が凍った。
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