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始まりは貴方から
突然カウンターに置かれた小さな紙
視線を上げると
あまり話したことのないその人がいた
眼鏡をかけた白衣姿の先生
四ヶ月前にここの病院へ赴任してきたばかりだ
彼は無言のまま会釈して立ち去る
その小さな紙を開くと
そこには個人的な連絡先が書いてあった
最初に感じたのは「めんどくさい」
男性からは連絡先自体受け取らないようにしてたのに
あまりにも自然に置いてくので完全に不意をつかれた
連絡をする気などない
でも今回は相手が悪かった
さすがに先生という立場なので仕事がしずらくなる
諦めて連絡をすることにした
断りの連絡を
しかしこの時やめておけば良かった
私は選択を間違った
あの日がなければ
こんなにも辛くて苦しくて
そして幸せな日々は来ないはずだった
始まりのキッカケをつくったのは貴方
でも
始めたのは私...
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