後編  流浪

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幸い、朝まで何事もなく、鳥達の姿も消えていました。 恐ろしいというよりも気味が悪く、早く絵に描いて吐き出してしまいたいと思い、木の枝でガリガリと首達の飛び回る様を描きはじめました。 ハッと我に帰ると、僧が私の描いた絵をまじまじと見つめているではありませんか。 僧の事はすっかり頭から抜け落ちており、冷や汗が垂れるやら顔が熱くなるやらで、枝を持ったまま固まってしまいました。 そして、いつか見た村人の蔑んだ目が蘇ります。 この僧も切れ長の目を見開いて、自分を責め立てるに違いありません。 「今にも鳴き出しそうだ」 僧はぽつりと呟きました。昨夜と変わらない、穏やかな声色です。 「見事な絵だ」 胸が熱くなり、込み上げる気持ちが何か判断がつく前に涙が溢れました。 僧は私を優しく宥めながら 「貴方は私の師にお会いするといい。きっと、導いてくれるはずです」 と言い、山の中腹にあるという寺に連れて行ってくれました。
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