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幸い、朝まで何事もなく、鳥達の姿も消えていました。
恐ろしいというよりも気味が悪く、早く絵に描いて吐き出してしまいたいと思い、木の枝でガリガリと首達の飛び回る様を描きはじめました。
ハッと我に帰ると、僧が私の描いた絵をまじまじと見つめているではありませんか。
僧の事はすっかり頭から抜け落ちており、冷や汗が垂れるやら顔が熱くなるやらで、枝を持ったまま固まってしまいました。
そして、いつか見た村人の蔑んだ目が蘇ります。
この僧も切れ長の目を見開いて、自分を責め立てるに違いありません。
「今にも鳴き出しそうだ」
僧はぽつりと呟きました。昨夜と変わらない、穏やかな声色です。
「見事な絵だ」
胸が熱くなり、込み上げる気持ちが何か判断がつく前に涙が溢れました。
僧は私を優しく宥めながら
「貴方は私の師にお会いするといい。きっと、導いてくれるはずです」
と言い、山の中腹にあるという寺に連れて行ってくれました。
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