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第2話
朝食を食べ終えて、僕は早瀬さんが洗ってくれた自分の洋服に着替えた。
早瀬さんもスーツに着替えて髪を整え出勤の準備をして、二人でマンションを出た。
今朝もまた人通りが多く、緊張して息を飲む僕の手を早瀬さんが握ってくれる。
「大丈夫か?怖かったらずっと下向いてていいからな」
「あ…りがとうございます」
早瀬さんに手を握られると大丈夫な気がしてくるから不思議だ。
顔を上げて明るい街を見る。
道を行く人々は皆せかせかと忙しそうに自分の行くべき場所に向かっている。
僕のことなんて見ていない。
そうか。
そんなに構えなくても大丈夫なのか。
僕は久しぶりに明るい外をきょろきょろ見回しながら歩いた。
早瀬さんが人にぶつからないよう僕に気を使って歩いてくれている。そのおかげもあって安心してアパートまで歩いて帰ることができた。
「送っていただいて、ありがとうございました」
「いや、朝から葵とデート出来て楽しかったぞ。じゃ、また夜迎えに来るからな」
そういえば今夜も約束していたよな。
僕はこくりと頷いた。
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