3098人が本棚に入れています
本棚に追加
葵をアパートまで送り届けて自宅マンションまで戻る修一の足取りは軽かった。
今朝は葵が朝食を作ってくれた。
今夜も家に来て料理をしてくれる予定だ。
これはかなり距離が縮まったのではないか?
あれから怖い夢も見ずに朝までよく眠っていたな。
可愛い寝顔を思い出すと、また修一の胸がキュンとした。
「社長、何で朝からこんなところを歩いているんです」
歩く修一の横に高級車が停り、中から秘書の坂田が怪訝な顔をして降りてきた。
「あー、葵が昨日も泊まってくれてな。今家まで送って行ったところだ」
「お盛んなのは結構ですけど…相手は未成年の男の子でしょう?会社の為にもスキャンダルは勘弁してくださいよ」
坂田は呆れて溜め息をつく。
素人の未成年の男の子など、週刊誌にでも抜かれたら会社のイメージダウンに即つながってしまう。
修一はイケメン社長としてメディアへの露出も多く有名人なのだ。それが朝帰りをした相手を家まで送っていくなど…。
「言っとくけど、葵とはヤッてないからな」
「は?でも泊まったと……」
「泊まったけどヤッてない。葵とは、真面目に付き合いたいんだ」
坂田は驚いて修一の顔を見つめた。
プレイボーイの独身貴族、それが早瀬修一だったのに…未成年の男の子と真面目な付き合いとは……。
「それでは……その子のためにも身辺には気をつけて下さいね」
「ああ。分かった。さ、会社行くか。今日も定時で帰りたいんでな」
最初のコメントを投稿しよう!