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あれほど明るかった太陽が、今はもう頼りないくらいに小さく暗く見える。
無理もない。ここは海王星軌道よりもさらに先の、彗星の巣と言われるエッジワース・カイパーベルトにほど近い宇宙空間。わが宇宙船、 IXS(Interstellar eXploration Spacecraft:恒星間探査宇宙機)110エンタープライズ2号は、そのエネルギー源であり補助推進機関としても使えるパイオンエンジンと、木星および土星のスイングバイを利用して、地球の衛星軌道から十ヶ月ほどをかけてここまでやってきた。
しかし、ここからはようやく本船のメインエンジンを動作させることができる。僕はメインエンジンの始動シークエンスをスタートさせた。あと数分のうちに、エンタープライズ2号は冥王星軌道を越え、太陽圏外に忽然と出現していることだろう。
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