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ぼんやりと月を眺めてみる。暇だ。
そうしていると、コンコン、とノックが聞こえる。ドアを開け、入ってきた母親は私の姿を見ると少し驚いた顔をした。それはすぐに呆れたような笑みに変わり、
「変な子ね」とつぶやいた。
まったく、余計なお世話だ。
次に母は私が育てていた盆栽に目を向けた。それは桜の盆栽で、1000円ほどのキットになっていたものだ。数ヶ月前にあてもなく立ち寄った雑貨屋で一目惚れして一生懸命育てた。おかげで今はきれいな花を咲かせている。
「これ……ママが貰ってもいい?」
何を言っているのか。このひとの頭はどうにかなってしまったのだろうか。
……もとからこのひとはこういうひとだったということは、今思い出した。
「あげないよ?自分で育てればいいじゃん」
ケチ、と言いながら部屋を出ていく。あのひとは何がしたかったんだ。まじで。
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