バケモノの正体は?

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「今のは・・? 何だったんですか?」 水野が右席から私に問い掛ける。 「分からない。でもあのバケモノはCGだったし、空中分解は電子操縦(フライバイワイヤー)制御則(プログラム)が機体の制限荷重を超えた飛行機動(マニューバー)を起こしたことによるものだった様ね。多分、彼が詳細を知っているんじゃない・・」 私はそう言って床に転がっている田所を指差した。 私は機体を松山空港に緊急着陸させた。機体の急降下に伴い乗客と客室乗務員数名が怪我をしたが、幸いなことに死者は出なかった。 着陸後、機体の電子操縦(フライバイワイヤー)のソフトウェアが解析され、その結果バケモノのCGと機体を空中分解させるプログラムがそこに書き込まれていたことが判明した。それは安曇航空機の田所が一人で作成し、最新ソフトウェアに紛れ込ませたことが分かった。その現象は四万フィート以上の高度を飛行する機体にある確率で発生する様に仕組まれていた。 彼はそのプログラムを組込んだ理由を米国のライバル航空機メーカー『ゾーイング』がJEJを貶める為だったと告白し、五百人以上もの死者が出たことから国際的な企業犯罪としてその後数ヶ月でゾーイングのCEOを含む数十人の逮捕者を出すことになる。
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