エピローグ

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エピローグ

その後、極東航空はJEJを三十七機まで増機し、国際線にも使い始めていた。 今日の私のフライトも羽田からニューヨーク行きの便だ。右席にはあの時と同じ水野が副操縦士として座っている。機体は太平洋上の巡航高度四万フィートに達していた。 「機長、あの積乱雲、あの時と同じ様な形ですよね」 水野が指差す二時方向の積乱雲を見て私は「そうね」と頷いていた。 その時、その雲の背後から吊り上がった二つの目が私を見ているのに気付いた・・。 「あれは・・バケモノ・・? なんで?」 その『バケモノ』は雲の背後から飛び出すと私達の機体に物凄い勢いで向かって来た。 「そんな筈は・・」 私は回避も何も出来なかった、いやしなかった。あれはきっとCGの筈だ・・。 しかし、次の瞬間、私は物凄い衝撃と共に機外に放り出された。 最期に私が見たのは空中でバラバラに破壊された機体と私に向かって大きな裂けた口を開けたバケモノの真っ赤な顔だった。
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