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竹本も肩を竦める。
「そんなことは私も分かっている・・しかし、事故調査は先入観を排して取り組む必要があるんだ。その為にはバケモノ以外の原因を想定したいんだが・・」
私は少し考えて言った。
「バケモノが右翼を破壊したという原因以外には二つの推測を考慮出来ます。一つは、パイロットが幻想を見てしまったこと。ただし、コックピットの二人が同時に幻想を見るのは合理的とは思えません。もう一つは、パイロットが芝居をした可能性です。乗客を巻き込んだ自殺をする為、演技をしていたケースです。勿論、二人は示し合わせていたということになります。ただ、これも右翼の破壊が説明出来ませんが・・」
竹本は残念そうな表情を浮かべている。そして今度は安曇航空機の田所に同じ質問をした。
「さあ、僕はソフトウェアの専門家なので今の音声から何もコメント出来ません」
またもや竹本が肩を落とす。
その時だった。突然、竹本のスマホが鳴った。
「はい竹本です。えっ？ まさか？ はい、分かりました」
竹本は電話を切ると私と田所を向き直った
「上海長江航空のＪＥＪが成田から上海に向かっていて、福岡県上空で墜落した。最後の無線でその機体から『バケモノ』に襲われたと連絡が有った様だ・・」
何と『バケモノ』が原因でまたＪＥＪが墜落したんだ。
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