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二機目の墜落
私達は翌日のフライトで福岡空港に飛ぶと墜落サイトである福岡県南部の英彦山にヘリコプターで向かった。機体は山腹に衝突して炎上した様だ。またやはり空中分解した様で、機体の破片は半径十五キロに散乱している。この事故では乗員乗客三〇二人全員が亡くなった。
また、この機体のブラックボックスの回収はまだだったが、コックピットの音声記録は機体のテレメトリー通信機能でリアルタイムに航空会社に送られており、ヘリコプターで戻った福岡空港でそれを直ぐに聴くことが出来た。
「なんだ? あの雲の中に居るのは? 眼みたいのが赤く光ったぞ。見えるか?」
「見えます。あっ、こちらに向かって来ます」
「なんだと? このままでは衝突だ! 畜生! バケモノめ!」
前回と同じように機長が手動操縦に切り替えた警告音が流れる。
「追って来てます。速いです」
「こちらSC三四便。バケモノに襲われ・・。あっ!」
「うっ!」
その五秒後、テレメトリー通信が途切れてしまった。
私達はその音声を聴いて再び衝撃を受けた。もう幻想や自殺とは考えられない。前回は米国の航空会社、今回は中国の航空会社。同じJEJでの墜落という点は同じだが、JEJだけをバケモノが襲う?
私達は混乱していた。
今回の墜落も日本国内の為、墜落した機体回収と事故の解析は日本で行うことになる。
「これはJEJの対空証明を取り消して飛行禁止にするしかないか・・」
竹本のその声に田所が異論を唱えた。
「竹本さん。機体側に問題無いのに対空証明を取り消すなんてあり得ませんよ」
私も頷いていた。飛行禁止してもこの問題は解決しない。他の機体が狙われるだけだ。バケモノが何かは分からないが、空中に飛行機を墜落させる『モノ』が居るのは確かな様だ。それが人工物なのか生き物なのか・・それとも神の所業なのかは分からないが・・。
「そうだな。自衛隊に墜落事件が起きた上空の偵察をお願いするぐらいしか手がないか・・」
竹本は全く先の見えない事故調査の行方に大きな溜息を吐いた。
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