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東京へのフライト
私達三名は取り敢えず東京に戻ることになった。その時、私の電話が突然鳴った。それは極東航空のオペレーションセンターからの着信だった。
「はい、高橋です。えっ? 大友機長が。ハイ。分かりました。そうですね。羽田から予備の機長を送るより私が対応する方が遅延を短縮出来ますね」
電話を切ると田所が聴いて来た。
「どうしたんですか?」
「あっ、羽田から福岡に向かっていた二六九便の機長が機内で体調を崩して、羽田に戻る二七〇便に乗務出来なくなったんです。代理機長を指示されました」
竹本がハッとした様に言った。
「FE二七〇便は、私達が羽田に戻る便ですね」
「はい、そうです。JEJのフライトです。私が皆さんを羽田にお送りします」
私は予備の制服に着替えると福岡空港の極東航空事務所で副操縦士の水野と会った。彼は私の一年後輩で、まだ数少ないJEJの操縦資格を持った副操縦士だ。彼とモニターを介して羽田に居るディスパッチャーと飛行計画について論議し、機長欄にサインをして最終化した。機材はJEJの二号機。整備記録を見ると、昨日の夜間作業でA整備を羽田の整備場にて終了していた。そこで機体のソフトウェアを最新のバージョン七.二一にアップデートしている。これは本来はC整備でインストールされる予定であったが、何らかの理由で早められた様だ。
「それじゃ、水野君。行きましょうか」
「はい、機長、宜しくお願いします」
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