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私は水野を先導して八番ゲートに駐機している機体を目指した。搭乗橋を渡ると、本日のチーフパーサの片岡が笑顔で迎えてくれる。一旦、コックピットに入って、水野に飛行準備を任せると私は機外点検の為、駐機場に降り立った。機体を外部から一周し点検を進める。ふと、先ほど見た墜落機の残骸が頭に浮かんだ。これと同一の機体の成れの果てがあれとは・・。
私はコックピットに戻り最終の飛行前準備に入った。
「これがJEJのコックピットですか? 初めて見ました。凄いですね。そのウィンドスクリーンが液晶画面になっているんですね・・」
その声に私が振り返ると竹本がコックピットを覗いている。その後ろに田所が立っていて私に会釈をした。
「そうですね。これがJEJの特徴の一つですから。外の景色に重ねてこんな感じで計器表示も出せますし、例えば・・」
私がスイッチを操作すると、垂直尾翼の上から撮った機体の全景がウィンドスクリーンに映った。
「完全にガラスを不透過にして様々な表示をテレビの様に映すことも出来ます」
「凄いですね。流石、最新鋭機! 僕の世代だと昔のロボットアニメのコックピットみたいです」
竹本が本当に驚いたと声を上げた。
「二人とも、コックピットに招待しますよ。補助席に座って羽田まで・・どうですか?」
その私の提案に竹本は首を振っている。
「私は客室で。田所さんは?」
そう言いながら竹本は後ろを振り返った。
「じゃあ私はお言葉に甘えて・・」
私は頷いた。
「はい、それじゃ田所さん、補助席に座って、シートベルトをお願いします。竹本さん、それでは羽田で」
竹本は頷くと客室に向かって行った。
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