10人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
ガリッと嫌な歯応えがあった。
私はペッとその場に口のなかのソフトクリームを吐き出した。
「どうしたの?」
隣にいた彼氏が驚いて目を丸くしている。
「ソフトクリームに石か何かが入ってたみたい」
「ええっ……大丈夫?」
「うん。……歯は欠けていないっぽい」
「そっか。良かった」
「でも、ごめんね。デートの真っ最中に」
私が女子力低いと言われるゆえんはこの辺りかもしれない。
「いいよ、びっくりしたんだもんね。もう一つ、買う?」
なんて懐の広い人だろう。
「んーん、まだ残ってるから平気」
「そっか。気を付けて食べてね」
「うん」
ソフトクリームに石なんてそうそう入っててたまるもんか。
次になんか入ってたら、店に苦情入れてやるんだから。
それにしても、私はなんて幸せなんだろう。
天気も良いし、彼氏も良い人だし。
ソフトクリームには悪かったけれど、今日これ以上嫌な事が起こらないと良いな。
私は青空とお日様にそう願った。
最初のコメントを投稿しよう!