白色の夢

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嗚呼、麗しの白! 清らかなる白! なぜ君はそんなにも私を打ち震わせるのだろう! 一体君はどんな強力な力を秘めているのだろう! 何も混ざっていないからなのか? そうではないだろう。 陰惨な雲はいくつもの小雪をすまわせる。 どす黒い雲にも真っ白な雪は宿っている。 陰惨な雲は白?なら、小雪は? 白は一体何なのだろう! 思えば君は、いつでもどこにでも僕の側に立っている。 暗黒の世界にも、月の白は降り注ぐ。 真紅の太陽も、物体にいくつもの白を貼り付ける。 宇宙は無限に黒? いや、白い星が遠くで笑ってらぁ。 すべて白。結局は白。 黒髪は白髪に。 人間は? 白い人間? 純粋なる人間? どうやら人間は髪の毛と逆だ。 成る程人間は 白から黒へと変化しながら 人生では いつも白への憧憬を抱いている。 白が美しいのは どうやら僕らの運命らしい。 陰惨な雲から小雪が降るのは 僕らの人生と同じらしい。 あの小雪たちは 僕らの悲しみの数だけ降り注ぐ。 僕らの瞳が黒いのは 見てきたものが黒いから。 僕らの体毛が黒いのは 経験したことが黒いから。 僕らの希望が白いのは 信じるものが黒いから。 とどのつまり 僕らの身体は黒なんだ。 だから僕は 白を思う。 なれないけれど 憧れたい。 届かないけれど 追いかけていたい。 白が僕にとっての正答だ。 時間終了のチャイムとともに目を覚ました。 机の上には、真っ白な答案用紙に、水溜りができているだけだった。 光を反射した水溜りが白色を称えていた。 僕は思わず苦笑した。
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