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椎野は顔を顰めたまま、[エディ]と向かい合ってソファに座った。
身長は久我と同じくらいだろうか。整った柔和な顔立ちとふわふわした髪型は、華やかで、人懐こい雰囲気を醸している。
「ねえ、美紘サンのお友達は?」
「は?」
虚をつかれて、椎野はぽかんと口を開いた。お友達、お友達とは?
「久我班、だっけ。みんなすごく仲よさそう」
あれは「お友達」とは言わない。馬鹿にするかのような[エディ]の言葉に、再び椎野の眉間に皺が寄った。
「俺を尾行けてねえかって質問なら、答えはノーだ。これ以上、犠牲者を出したくないからな」
「やだな、そんなつもりで言ったんじゃないのに」
ぷうっとむくれてみせる。その子どもっぽい仕草に「おまえ何歳だ」と言いそうになり、慌てて口を噤む。それに気付いた[エディ]が面白そうににやりと笑い、身を乗り出した。
「一見クールな美人だけど、実は熱血漢。鋭い観察眼を持っていて頭もキレる、敵に回したくないタイプ──って、エディさんが言ってたよ」
「ヤツとテメエの接点は何だ?」
「え?」
「疋田伶士とはどういう関係かと聞いている」
一瞬、[エディ]の表情が固まった。だがすぐに、はぐらかすようにふにゃりと笑う。
「なに、美紘サン、もしかして妬いてんの?」
「何の接点もなく勝手に[エディ]と名乗ってんのか? とんだサイコ野郎だな」
「はい、イエローカード」
[エディ]は上体を起こすと、顎を突き出して目を細め、わざとらしく右手を上げた。
「僕を馬鹿にしたら、警察官がひとりずつケガするから。発言には気をつけてね」
「ほう、気を悪くしたのか。そいつは悪かったな」
「悪かったって思ってるようには見えないなあ」
「土下座でもしろってのか」
「ま、最初だからね。許してやってもいいけど、今度は土下座よりも屈辱的なことしてもらうからね」
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