白いスケッチブック

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 殺風景なアパートの部屋で一人、スケッチブックに絵を描いていた。子供の頃から好きだった幼馴染みの少女――優香の姿だ。  告白もできずに僕が地元を離れることによって会わなくなってしまったのを、今でも悔やんでいる。  彼女の面影を追い求めるように画用紙に鉛筆を走らせていく。  家族ぐるみで行った海で打ち寄せる波を眺めるともなく見つめていた優香の横顔。頬の柔らかな曲線、振り返って僕を認めて笑んだ瞳――。  追憶に浸りながら描き上げた絵に、今度は水彩絵の具で薄く色を付けた。  出来上がった絵を机に置き、乾くまで一眠りすることにした。  絵の中の優香を見つめる。 「……君がここにいればいいのに」  それだけ呟いて、かたわらのベッドに潜り込んだ。
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