3_アッキー憑いてるんじゃない?

1/1
前へ
/6ページ
次へ

3_アッキー憑いてるんじゃない?

「アッキー、その女子高生が思いっきり怪しいんだけど……」  神社に着いて車中の話を目の前の巫女じゃなかった、ミコにすると呆れ顔で言われる。今は昼時でミコは丁度休憩だったので食事を一緒に奥の部屋でしている。当然巫女装束なのだが巫女って言うとその他の人物な気がして個人的に違和感がある。  ちなみに俺は昨日ミコとも話したらしいが当然記憶はない。 「ところでさアッキーは自分で渾名どころか名前も、その女子高生に言った覚えがないんだよね?」 「眠気があったからハッキリと言えないけど、俺の記憶の中には言った覚えがない。」  そう俺が言うと二人は歯に物が挟まったような顔しながら、お互いの顔を見る。 「昨日のアッキーが私をね、[ミコ]って呼んだの。私の場合は職業の兼ね合いもあるからそこまでおかしくないのだけど…。」  ミコはそう言って静音に目配せして発言権を譲る。 「私の事は[オシズ]って呼んでた~。」  ミコにオシズにアッキー…全て俺たちの渾名だ。ただ 「私やアッキーの呼び方はともかく、シズの[オシズ]っていうのは高校の頃に聞いたきりだったと思うの。」  俺たち三人は同じ県立O市南高校の出身だ。現役で言うと千絵ちゃんも通っている高校となる。  ちなみに俺たちの年齢は26歳だ。俺の記憶だと高校の中退者はいなかったのでクラスメイトの子どもだとしても年齢が合わない。   「そういえば、昨日の女子高生の制服のデザインが俺たちの時代の物…だった…よう…な?」 「「「………。」」」  3人で見つめあって同時にお茶を飲む。いや~、さすがミコの入れてくれたお茶は美味しいな~、アハハ。アレ、お茶熱かったのかな汗がでてきたな~。普段の汗と違ってひんやりとした感じがするけど、きっと気温のせいだからだな。  あれ、エアコンの温度上げようと思ったら28度になってますよ、フシギダナ~。  さっきからの俺の行動を優しそうな目で見てくる4つの眼。ヤメテ!君たち普段そんな優しい目しないじゃん!! 「「アッキーさ~」」 「あ、俺の健康診断見る?デスクに入れてあるか」 「「昨日の女子高生に憑かれたんじゃない?」」  言った!!俺が全力で現実逃避してたのに、巫女と花屋の看板娘はためらいもなく言い放ちやがった!!!    皆さんは幽霊って信じますか?  私たち3人は幽霊を信じてます。いえ、ミコさんがいるおかげで信じざるをえませんでした。  ミコさん列伝はまた別の機会にするとして、重要なのはミコさんのおかげで当時の学校関係者で幽霊について信じていない人はいなかったと思います。  そんなミコさんに昔、幽霊を見分ける簡単な方法を教えてもらいました。[足の確認]でした。……警官になってから怠っていた事を激しく後悔しています。    俺がそんな自責の念に捉われている間に儀式の準備をしだすミコ。憑いている疑惑が出てから俺と入れ替えて話すつもりと言っている。  巫女って言うとゴーストバスター的に祓う事が前提に考えている人もいるけれど、ミコは話して解決を考えようとする。他の巫女は会った事ないから知らないけど…。 「アッキー準備できたからそこに座って。シズは念のため私の後ろにいてね。」  円状にお札が貼られていて、中心には塩が盛られた皿が五角形を成すように置かれている。ミコが塩で作られた五角形の中心を示したので俺はそこ座る。  巫女も俺の目の前にすり足でゆっくりと近寄ってくると、目を閉じて呪文のようなものを唱えながら祓串を俺の頭の上で左右で振る。祓串の紙垂が擦れる音って好きなんだよな~と思っていると意識が徐々に遠のいていく。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加