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5_太一さん!その子を下さい!!
「「「その子を譲って下さい!!」」」
3人揃って交渉相手(フラワー皆城の唯一の家族以外の従業員)森太一さんに土下座する。ミコから動作については高校時代に教育を受けているので土下座の綺麗さも自信がある!
ちなみに土下座しているのは、太一さんのマンションである。
「……まあ、お金を貰えるならいいですよ。」
こんなキレイな土下座を3人揃ってやったのに素っ気ない返事なのはちょっと残念だけど、了承の許可はもらえたのでよしとしよう。
システムとか機械ばかり弄ってると感情が希薄になるのかなとちょっと失礼な事を思った。
ちなみに人身売買してはいない。俺は警官だし。そもそもミコも生き物は無しって言ってるし。
太一さんは最近AIの研究にハマっていて、AIを載せる素体も自作をしていた。そこまでいくとAIというかアンドロイドの研究だよな。
その素体のモデルが霞だった。一体どこで霞を知ったのかモデルとしてはストライクだったらしい。静音に頼み込んで写真(他の用途で使わないように書面書かせていた)を貰って作っていた。
その素体を巡って俺たちは土下座でお願いをしていた。実際に見せてもらうのは初めてだったけど瓜二つと言ってもいいレベルだった。前から思ってるけど、よくこの町にこの人来てくれたな…。
太一さんと太一さんがこの町に住むキッカケを作った女神は素体の買取金額について話し混んでいる。俺とミコは霞を素体に定着させる儀式の準備をする。
基本的には神社でやった儀式と同じらしいので、同じように札等を配置している。その傍ら俺は紙垂を折っている。俺から素体に移動させるために指向性の願いが必要らしく、体の持ち主である俺が紙垂を折っている。
神社ではなく現地で折っているのは実物の方を見ながらの方が気持ちが入りやすいという専門家のアドバイスである。ちなみに一度も入れ替わってないような状態なら作業はいらなかったらしい。入れ替わる事で多少なりとも定着をしてしまっているので今の段階では願いが必要不可欠らしい。
切って 願って 折って
切って 願って 折って
「分割で~!!その金額だと一括はちょっと~」
切って 願って 分割して
って切ったのに分割してどうする!静音の声で心が乱されてしまった。電話中に文章書いていると会話内容を書いてしまうのと似たような現象だ。
「集中!!願いの無い紙垂は意味がない!!」
バシッという音と共に頭部に痛みと衝撃を感じる。ミコに頭を叩かれた後に2個前までの紙垂を没収される。
外部の音を遮断させる為かミコは懐からイヤホンを出して俺の耳に付ける。ってまさか暇な時…、いや今は何も言うまい。
切って 願って 折って
切って 願って 折って
切って 願って 折って
指定された数を作り終わるとミコに渡して祓串にしてもらう。
お金の面も話がついたようで二人もこちらに来る。幼馴染は肩を落としているので、今年は幼馴染にお年玉をあげた方がいいかもとちょっと思う。
諸々の準備が終わるとミコの指示で俺は素体の肩に手を当てる。物理的な接触がある方が成功しやすいらしい。
ミコは深呼吸すると呪文を唱え始める。
ミコが言葉を紡ぐのと同時に自分の体から何かが剥がれる感じがする。少し経つと頭上に靄みたいなものが見えた。霊体って本当に見えるものなんだ…。
ミコは冬だというのに髪の先端から汗の玉を降らせながら、俺が折った紙垂で作った祓串を素体に向けて振るう!俺の頭上にあった靄は祓串に導かれるように素体の中に入っていく。
「「「「……。」」」」
4人は息を飲んでこの次に素体が動く事を願っていた。
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