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葬式で見た君とお前
雨が降りしきる中、数日前にこの世を去った男の葬式が行われていた。葬式の会場は黒いドレスコードに身を包んだ老若男女多くの人達が詰め寄せていた。
どうして死んじまったんだよ……和樹。
俺は会場の奥深くで飾られている和樹の写真を見て目頭が熱くなる。和樹は俺の昔からの親友だった。
中学時代から俺達は一緒に連んではバカな事ばかりやってきたし、それは高校時代も同じで勝手に非公認のバンド演奏部とか作って、二人だけでゲリラライブをよくやっては先生達によく怒られたものだ。
俺達の青春が終わりを迎えたのは1週間前。高校卒業してから10年が過ぎた頃、肺炎で和樹はこの世を去った。
最初は風邪をこじらせて病院に入院しただけって聞いていたのによ……俺と面会してからその1週間後に死ぬなんてふざけるなよ!どうするんだよ……お前が残した語梨ちゃんのこと……
あれこれ考えていると俺の順番が回ってきた。
これで別れかよ……和樹。正直まだお前がここにいるような気がしてるのによ……でもいないんだよな……もうこの世にお前は……
俺は和樹の写真の下に置かれた献花の中に1本の献花を置き、すぐに会場から離れた。俺は近くのトイレに入り、洗面台で両手を使い顔に水をぶっかける。
馬鹿野郎!どうして俺は和樹に別れの言葉が言えないんだよ!逃げてどうするんだ!ちゃんと言えよ!そうじゃなきゃ和樹も浮かばれないだろ……
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