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お前家の君
ピンポーン
「すいません、遊食食堂の出前です!語梨ちゃんいる?」
数分待ったが反応なしか。まあ風邪だし寝込んでるのかな。しゃあない帰るとするか……
俺は自分の身を翻し和樹と語梨ちゃんが住む一軒家から離れるように歩き出す。だが、その足は1歩歩いたところで止まった。
いや待てよ。語梨ちゃんはああ見えて抜けてるところがあるから、まさか……
再び身を翻し一軒家のドアノブに手をかけた。
ガッチャ
やっぱり……鍵閉めてなかったか。
俺はドアを開け、家の中に入った。家の中はこんな事を言うと失礼だが、和樹の家にしては普通過ぎる。高校時代のロックンロール魂が全く感じられない程、新婚ほやほやのような甘ったるい内装が目立つ。
まあそんなどうでもいい感想を抱いてないで、早く語梨ちゃんの所に行かないとな。
最後に来た7年前の記憶を信じて、家の奥にある部屋のドアを開ける。
ドアを開けると、そこには1人用ベッドで寝ている語梨ちゃんがいた。
今の時間でも寝ているということは本当に風邪のようだな。出前を届けに来たわけだし、起きた時に食べれる昼食の準備でもするか。
「キッチン借りるからね。語梨ちゃん」
俺は寝ている語梨ちゃんにそう言い残し、キッチンに向かった。左手にはあらかじめ買っておいた食材が入ったビニール袋を持って……
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