ひとりの旅人の訪問

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 異邦の島国で生まれ育ったユキの滞在六日目は、彼女をぼくらの仲間に紹介して、ちょっとしたパーティーを開いた。ビジネス以外でかの島国の人たちと交流することはまれだったけれど、彼女は他の異邦人とは違った感じでもあったし、みんな気に入ってくれているようだった。それにこうやってパーティーを開くことも久しぶりだったので、ぼくら自身とても楽しい日になったんだ。この日にすべての儀式を済ましてしまうのもよかったんだけど、やっぱり古来からの伝承に基づくやり方だと、この地に入ってから一週間というのが決まりなので、その日は彼女を早く寝かせてから、明日の儀式の準備をキョア・シラスの村人総出でやりはじめるのだった。  なにせ、五十年ぶりのことだから、これがほんとうに正しいやり方なのか不安だったけど、シャーマンであるぼくの祖母が言った薬草を手分けして探してきた。どれも同じ色なので、見分けるのに手間どったけれど、なんとか形や香りで判断して全種類を集めることに成功した。そしてあとは、水晶玉をこれでもかというほどにぴかぴかに磨くのだ。  ぼくは、へとへとになってその晩ぐっすりと眠ってしまった。
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