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目が覚めると世界は一面、白だった。
リカは目の前の白をただぼんやりと眺めた。
――何しているんだろ。私。
リカは白いベッドに横になっていた。
ベッドもシーツも毛布も枕もすべてが一様に白。
――そうだ。私、学校に行って……。
リカはゆっくりと思い出した。
そうだ。朝、学校の全校朝礼で校庭に並んでいた。
遅刻ぎりぎりで登校して、走ったから息も切れて汗だくだった。
そこで炎天下の中、校長先生の話を聞いていたら、だんだん視界が白くなり、意識がもうろうとしてきて、そこで……。
そこからの意識はない。
ということは、ここは保健室だろうか。
リカは起き上がり、あたりを見回してぎょっとした。
リカのまわりはただ白い。
何もない白が続くばかり。
どこか室内なのだろうとは思うが、床と壁、天井の境目も白くて見えない。
ただ白い空間がどこまでも続いている。
白くて、無音の世界。
ただ白い世界で、紺色の制服を着たリカだけが色のある存在だ。
――何だろう。ここは。
リカはだんだん怖くなってきた。そのとき、初めてリカの耳に音が聞こえた。
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