スノウドロップ=レインドロップ

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 けれど!  まさかまさかと思っておそるおそる窓の方を見てみると……。  雲は真っ白、曇りの時とは桁違いの真っ白さ。雲全体が輝いてるみたいだった。  その雲からはらはらと落ちるものが。スパゲッティにかける粉チーズ! チョコレートケーキにかける粉砂糖! ううん、全部違う。これは雪!  思わず窓をがらりと開けると冷たい風が教室内に吹き込んだ。暖かかった教室が急に寒くなってクラスメイト達が小さな悲鳴を上げる。けれど窓にへばりついている私以外にも、みんな雪に興奮していたみたいだ。キョーコちゃんが私の横に駆け寄ってきて、小さな声で囁く。 「ね、外に遊びに行こうよ」  ふと次の時間割が頭によぎった。たしか……算数だった気がする。プラスチックのそろばんで大きな数の足し算引き算。退屈な50分間。 「いいよ!」  天秤に算数と雪遊びをかける間もなく、算数と書かれた小さな石は空のかなたへと飛んで行った。空には雪。小石は雪に変身してはらはらと落ちていった。
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