スノウドロップ=レインドロップ

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 気がつくと森の中にいた。  学校を出ても歩道には真っ白の雪が積もったままで、通行人は誰もいなかった。ここにもまっさらな雪。最初に見た校庭と同じくらいまっさらだ。  ただ少しだけ違うのは、肉球の足跡が点々と続いているから跡をたどることができた。キョーコちゃんは最初正門をくぐることすら抵抗したけれど、それも数秒のことだった。私が無理矢理手を握ってそのまま歩き出した。キョーコちゃんは少し戸惑って、けれどその後に無邪気に笑って手を握り返してくれた。  そして足下の足跡をたどっていったらいつの間にか森の中に入ってしまった。通学路探検ではここの周りに森なんてなかったんだけどなぁ。  それでも足下には点々と肉球の跡が続いている。それを追わずにはいられない。キョーコちゃんを握る手が思わず強くなった。キョーコちゃんも強く強く握り返してきた。  緊張しているのだろう。キョーコちゃんの緊張も伝わってきて、少しだけ背筋が伸びた。だんだん足の下の雪が分厚くなってきた。うっすらと降り積もっていた校庭の雪とは大違いで、ぴかぴかのスニーカーの半分ほどが分厚い雪に埋まってしまった。進みづらくなったけど、ユキギツネの行方が気になって仕方がない。進む足がずっしりと重くなって、進むペースもかなりゆっくりになった。
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