1人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「あっちゃん、私もう帰りたいよぉ」
「キョーコちゃん……」
キョーコちゃんは半べそをかいていた。足も冷たくて、もうこれ以上進んだら風邪を引くどころじゃなくなってしまうだろう。それに、道もわからないしまだ元気なうちに引き返した方が……。
けれど、ユキギツネを、もう一回みたい。その気持ちに全然勝てる気がしなかった。肉球の足跡がある限り、私は追い続けたい。
それをキョーコちゃんにいいたくて、顔を見たけれど、キョーコちゃんは体調が悪そうだった。顔が青白くなっていてブルブル震えていた。さすがに、雪の中にコート一枚でこんなところまで来るのは間違っていたのかもしれない。
キョーコちゃんの体調と、ユキギツネの存在。天秤にかけてみたらキョーコちゃんの体調の方ががたりと傾いた。引き返そう。それに、私も少し疲れてしまった。あったかいスープでも飲みたい。
最初のコメントを投稿しよう!