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その後、そして――
昼、そしてここは都内の病院のナースステーションである。
そこでは右へ左へ働きながらも、談笑を忘れない看護師たちの姿があった。
「ねえねえ、この前サボった時に『逃げ出した患者を追っていたらいつの間にか沖縄にいました』って言い訳したの本当?」
「んー、色々ねじ曲がっている部分はあるけど、大まかには本当のことかな」
「うわあ……もうちょっと信じてもらえるような内容を考えなよ」
「いやいや、それで言い訳したのも本当だけど。沖縄に行ったのも本当なんだってば」
「ま、それはそれで社会人としてどうかと思うよ」
「うぐぅ……降参です、こーさん。真っ赤な嘘でした」
両手を上げる一人の看護師。
その話し相手になっていた看護師は、確かに彼女はここ数日で急に日に焼けたかもしれない、と疑いの目を向けたのだった。
病室の入り口が開く音が聞こえる。誰が入ってきたかは見分けることができないが、大体この時間にやってくる人は決まっているのだ。
「こんにちは、ミイさん」
「こんにちは、ユウ君」
笑顔で彼女を出迎える。きっと、彼女も笑顔を向けてくれている。
「外は晴れですか?」
「そうだね、ちょっと雲がまばらにあるくらい。あとはね――」
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