白の虚構 ~RPG 勇者Sの場合~

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 だいぶ歩き回りへとへとになり、何とか町にたどり着いた。  プレイヤーはたとえ冬だったとしても暖かい部屋で指先だけでオレ達を操作してるんだろ?  オレ達は回復魔法をかけられたところで、疲れや寒さは全く取れやしない。  早く休みたいのに情報収集で町人達と、くまなく話をさせられる。  いい加減、もう寝たい。歩きたくない。 実は荷物や武器もバカみたいに重いんだぞ?  けれど、表面上はどれだけ歩いてもHPは減らないから引きずり回される。  リサーチの結果、この町の峠を越えるとその先には雪よりも純白で巨大な神殿がある。  常に吹雪で見つけにくいらしい。絢爛豪華に大理石で作られ、純度の高い水晶で飾られたその絶美に魅せられると、もはや帰れなくなってしまう程だという。  更に魔法使いのための最終魔法や、伝説の勇者の兜などのお宝が隠されているという言い伝えがあり、更に更に、実はこのワールドの文明を越えた最終的な敵のアジトへの重要なカギも隠されているらしい。  そんな大事なもん、辺鄙な土地へ隠しておくかね、普通?  そうそう、その神殿内にはそれらの宝物を守るため、どでかいボスキャラが守護していて、他にもモンスターが沢山はびこっているらしい。滅多に人が行かないだろうに。どんだけ人件費?モンスター件費?かけてんだ?コスパ悪すぎ。全く意味わかんねぇよな。  今更だけど、只の何もない部屋に宝箱が無造作に置いてあって、カギが掛かっていても結局魔法で開けられたりなんて、そんな事、ある?  ただ、そんなだから都合よくボスキャラ前にはセーブポイントがあるらしい。重要な場面だから、かなり洗練された純白な大部屋になっているとの情報がある。暖かく快適な中でセーブできるのはラッキーだ。この世の物とは思えないような手触りで、ふかふかの羽毛布団のベッドでちゃんと4人全員寝られるらしい。戦いの前に腑抜けになりそうだ。  まぁ、ぶっちゃけ噂の域は超えてはいないだろうが。
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