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絶対、同じ高校に行こうね――――
勝手に私は、そんな約束をしていた。
「で? 望はどこにしたの?」
進路を決めるプリントを提出後、友達の律香が飛び込むように私の机に突っかかってきた。
「勝欄高校にしよっかなって」
「えー、勝欄って、かなり厳しい所じゃん!」
「が、頑張ろっかなって……」
勝欄高校はこの辺りで一番偏差値の高い高校だった。毎年合格できるのはクラスでもトップに位置する頭のいい人しか行けないというイメージだ。
到底今の私になんかには、高すぎるハードルだ。
「私には無理だなぁ……」
項垂れながら自席へ戻る律香に、私にも無理、そう言いたかった、でも……
「なあ、桃也はやっぱ勝欄?」
「まあな、親もうるさくて」
「つか、スゲーよな、俺らなんて絶対無理だわ、なー?」
すぐ後ろで男子グループが話している。その中でもリーダー各を担っているのが、桜田桃也だった。彼は頭がいい。頭のいい人はどちらかといえば文系で、体育等は苦手という人が多いのだが、彼の場合は違った。サッカー、バスケ、何をやっても注目を浴びるほど、運動神経にも長けていたのだ。とどめには顔立ちも良く、バレンタインには、大量のチョコを持ち帰るという非の打ち所のない男子だった。
その桜田桃也に、私は恋をしていた――――
「そういえばさ、長田望、あいつも勝欄受けるらしいよ」
急に男子が私の話にすり替えた。笑い声の中に「無理無理」と揶揄する言葉も聞こえる。ギャーギャーと、騒ぐ男子達の中心で、桃也君だけは無言で俯いていた。
「がんばるもん……」
小さく呟いた。
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