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いち、に、さん。
十になったら目を開ける。そう決めないと起きられない。冬のこんな朝は目を開けるだけで寒さが入ってくる。
しー、ごー、ろく、しち、はち、きゅー、じゅー。
目を開ける。明るい。何も見えない。おかしい。視界が全部白だ。
寝る前にはカーテンを閉めた。親は私の部屋に勝手に入ってくるタイプではない。だから外が明るくなってても外の光はほとんど入ってこないはず。そもそも朝の光が入ってきても天井はくすんだ色をしているし、視界の端には机が見えるはず。
そんなことを考えながら起き上がる、起き上がろうとする。起き上がれない。手足の感覚もない。目だけは動くようなので、あたりを見回す。何か変だ、いや、全部変なんだけど。ああ、そうか全部白で見た目じゃわからないけど、感覚だと目玉が一周した。そして見えるものが全部白ってことは、多分身体が見えてない。ないのかもしれない、視覚以外の感覚もないし。
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