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そんな訳でおばあさんは昨日、おじいさんが金貨を掘り当てた辺りにポチと共にやってきました。けれども、一向にポチが吠えませんのでおばあさんは声を荒げて言いました。
「こら!おみゃあ!ここ掘れワンワンとちゃっと吠えなあかんがや!」
ポチは徒でさえおばあさんが嫌いなのにきつく言われましたので思わず睨み返してウ~と唸りました。
「何や、ポチ、犬の分際で文句ありゃあーすか?」
「ウ~!」
「わあ、おそがいわ、悪かったでなも。悪かったでなも。こうして人間様が謝っとるでしょう。ほだで機嫌を直してどうかここ掘れワンワン!と吠えてちょーせんか。」
そう言われてポチは二三歩進んでからここ掘れワンワン!と吠えました。
「よしよし、それでええがね。」
おばあさんはしめしめと言われた所を持ってきた鍬で掘り出しました。
しかし、いくら掘っても何も出てきませんので遂に頭に来たおばあさんはポチの頭をひっぱたいて、「このたわけが!ちっとも出てこんがや!」と怒鳴りますと、ポチも頭に来て飛び上がるや、おばあさんの鼻にガブッとかぶりつきました。
それで鼻の一部が捥げましたので、「うぎゃー!」とおばあさんは悲鳴を上げて痛がりました。
ところが、おばあさんは負けていませんでした。
それどころか、「おのれー!」と叫ぶが早いかポチの顔面を殴り飛ばしたので吹っ飛んだポチは、大木の幹にどかんとぶつかって根元にどさっと落ちて地面にぐったりとしてしまいました。
ポチは死んでしまったのです。
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