なごやのはなさかじいさん

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「やっちまったがや。こりゃいかんわ。じいさんにどう説明しよみゃあ・・・」  おばあさんは困り果て家に帰りながら考え抜いた末、おじいさんにこう説明しました。 「犬も歩けば棒に当たるやにゃあけど、何故だかポチは突然、どえりゃあ早足になってなも、大木にぶち当たってまったでかんわ。」 「そ、そんな事あらすか!」 「それがあったんだて。その証拠にわしもポチと紐でつながれとったもんだで、ポチと一緒にぶつかってこのざまだわ。」  おばあさんが一部捥げた自分の鼻を指さしながら言いますと、おじいさんは心配になって言いました。 「ほんでポチはどうなった?」 「()うなってまった」 「な、なんだと!」 「わしがついていながらすまなんだ!すまなんだ!」とおばあさんが三拝九拝して謝ると、おじいさんは涙ながらに言いました。 「んー、ほうやったか、頭のええ犬やったのにどうしてみゃあたかなも・・・」  半信半疑ながら悲しみに満ちたおじいさんは、ハッと気づいておばあさんに言いました。 「ところで、おみゃあさん、ポチは?」 「ほかっといた。」 「た、た()け!」  
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