プロローグ

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 信じるか信じないかは別として事実、この世界は「生」と「死」を併せ持つ無数の魂を乗せて創られた。  生死は与えられた定めに従って永遠にその存在を繰り返す。  生がある限りは地上で活動を続け、死によって一旦の終わりを迎えると、生まれた場所へと還ってゆく。そして、その時が来ればまた地上へ落ちるのだ。  魂の「生き死に」の繰り返しが世界の活動であり支えであった。  ところが、永遠を想定して創ったであろうその流れがある時から乱れ、あろうことか生死の均衡が崩れそうになるまでに影響が出ている。  原因はすぐにわかった。  生命体の一つである人間が、予期せぬ成長を遂げ自らの命を伸ばし始めたのだ。それらは与えられた定めを更新して頑なに地上へと留まろうとした。  人間のそうした活動は自分の支配者であるとも言える魂さえも侵し、本能として死を恐れ免れる方法を求めるようになっていった。  それが何を意味するのか、この世界を創ったものだけが知っている。  だから「神」は、もとある定めに導こうと地上へ降り立った。
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