Divine Doll

一、復活

「――本日を以て神の復活から二十四年が経過した。今後も人々は不安の日々を送ることになるだろう。今一度自分たちの役目を見つめ直し、しっかり寄り添いなさい」

　大聖堂へと響き渡る声。
　均等に並べられた長椅子は、世界中の聖職者たちで満席だった。一番後ろの席からでは祭壇に立つ声の主を確認できぬほどの広さと数があるというのにも関わらず、だ。

「素晴らしかったです、ライナス様」

　少女は紅茶の湯気の立つカップをトレイに乗せて、視界を通り過ぎていった相手に労わりの言葉を掛ける。

　その人はソファに腰かけると、ふぅ…と息を吐きながら片手で顔を覆った。その様子にだいぶ無理をしているのだと感じて、自分の軽はずみな発言を後悔する。

　カップをもう一度手に取り胸の前へと持ち上げると、目を閉じてもう一方の手を額の前まで上げる。