バケモノ緊急会議

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「由々しき事態だ、これは!」  ばばん!と魔王様はテーブルを叩いて宣言されました。あ、皆様こんにちは。僕、魔王城でアルバイトしてます、部下Aです。一応ワイバーンと人間のハーフ?みたいな奴です。人間の村で産まれたんですが、あんまりにも人間離れしたヤバイ見た目(全身緑でウロコとシッポと羽がある)だったのでバケモノ扱いされて捨てられちゃいまして、仕方なく魔王様のところでアルバイトとしてお世話になってる所存です。  そして現在地は、その魔王様のお城の会議室になります。僕をはじめ、他にも魔王様の手下のモンスターが一堂に会してます。全員なんらかのモンスター、というかモンスターではないと魔王様の手下になることができないからなんですけど。なんといっても、魔王城の瘴気に人間は耐えられませんし、はみだし者が集まってできたような集団ですからね。  それはさておき。現在魔王様、おこです。かなりのおこです。それはなんでかというと。 「最近、我々モンスターの威厳が損なわれている……人間どもが次々、我らが支配領域である魔の森に侵入してきているというではないか!数百年ほど前までは、恐ろしいモンスターがうじゃうじゃいるということで、人間どもは誰も近寄らず……追っ払う手間もなかったというのに!」 「そりゃ、最近勇者が人気役職になっちゃってますからねえ」  妙にキラキラした一つ目で言うのは、ファンタジーではおなじみのモンスターであるサイクロプスさん。最近目玉のケアにさらに磨きをかけているということで、目玉だけ見ると美少女級の輝きを放っております。 「しかも昔より魔法技術も科学技術も進歩しちゃったし。勇者どもがこぞってヒャッホー!とモンスター狩りをするようになっちゃったもんですから、俺らも数が減っちゃって。そりゃナメられますよね……実際は、見た目怖いだけのザコ集団だし」 「おいコラザコとか言うな!悲しくなってくるだろ!」 「あ、すんません魔王様」  涙目になっている魔王様も、一応はモンスターです。……人間のお子様くらいのチビちゃんで、角が生えている美形ショタにしか見えないのが悩みらしいですが。  モンスター達が狩られまくって数を減らし、お金の稼げる美味しい役職として勇者が人気職になった結果がこのザマなわけでして。まあ、魔王様が危機感を覚えるのも当然でしょう。加えて。 「最大の問題は!我々がここ近年、人間のオタクどもにデフォルメされてマスコット化して売り出されているということだ!肖像権は何処行ったんだ肖像権は!許可もらってねーぞ!!」  うがああ!と吠える魔王様。 「そのせいで、勇者でない奴らまで面白半分に森に来るようになってしまったではないか!多少脅かしたって帰ってくれないし!怪我させたらさせたで勇者どもが大挙して押し寄せてくる理由を作るというかぶっちゃけ戦うのも嫌だし!」 「なんだかんだで魔王様優しいですもんね、草食系(リアル)だし」 「そうだな、特に人間の肉なんて臭くて食べようと思ったこともねーわ……ってそうじゃない!ツッコミどころそうじゃないだろ部下A!」
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